ふなしん被害対策弁護団ニュース第九号2008/9/1
ふなしん訴訟も第21回公判を9月19日に迎えるにいたりました。 今回は4回に亘る証拠調べを担当をしてくださった弁護団の先生方や証言いただいた原告の感想などを纏めてお知らせいたします。
☆ 証人尋問のまとめと今後の予定について(常岡先生)
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尋問の実施について
本年5月16日から7月11日にかけて,合計4回の期日を利用して,尋問が実施されました。
原告からは,代表して,尾藤光代さん,小田孝師さん,金澤fさん,小畑芳子さんが,千葉地方裁判所の法廷において,自らの出資に至る経緯や,船橋信金担当者の具体的な勧誘・説明状況を供述してもらいました。
また被告の船橋信金からは,尾藤さんら4人をそれぞれ勧誘した担当者4名が証人として出頭し,また被告元理事らも大木,市原,谷口の3名全員について尋問が実施されました。
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原告らの尋問結果について
原告の皆さんの尋問は,総じて上出来だったと思います。
皆さんそれぞれの個性のある尋問でしたが,いずれも,いかに船橋信金担当者の勧誘がいい加減で,出資について,預金等との区別や払い戻し,船橋信金が破綻した際のリスクなどの説明もなく,杜撰な勧誘を繰り返していたことが明らかとなりました。さすがに自ら経験した者の口から語られる被害の状況は,分かりやすく具体的でした。
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船橋信金担当者の尋問結果について
原告の皆さんの迫真的な尋問に比べ,船橋信金担当者の尋問はいかにも空々しいものでした。
これまでにこちらが提出している資料などにより,船橋信金は各支店に出資金募集のノルマを課し競わせていたことは明らかとなっていますが,担当者はいずれも特にノルマを課されていたわけではないと繰り返し,また出資金勧誘に当たっては,預金との区別や払い戻しには相当の時間がかかること,また船橋信金が破綻した際には出資金は戻らないことなどを時間をかけて説明をした,などと,虚偽とも言える供述に終始していました。
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被告元理事らの尋問について
言い方を変えればA級戦犯の被告元理事らの尋問ですが,彼らに対しては,主に船橋信金の経営状態について尋問を行いました。
理事らは,これまでの実績からすれば到底達成できない目標を掲げ,「これがうまくいけば破綻せずに済んだ,だから破綻を予想することはできなかった」などと終始供述していました。詳しい内容は神定弁護士の説明に譲りますが,決算書などから客観的にうかがわれる危機的な経営状況を顧みることなく,安易に出資金増強運動を推し進め,また勧誘に際して適正な説明をさせるよう徹底もしていないことが明らかとなりました。少しおもしろかったのは,理事自身も出資金の脱退方法をきちんと把握していなかったことが明らかとなったことです。
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今後の予定について
今回の尋問が終わったことで,すでに折り返し地点は過ぎ,山場も超えた,というところです。
ですが,船橋信金や国は,大事な資料を隠し持ったままです。また田中さんの尋問も申請中ですが,実施されていません。
今後は,特に被告らが持っている大事な資料を提出させ,船橋信金の経営状態が相当以前から悪化していたことを明らかにさせることが必要です。原告らは以前から,それらの証拠書類を提出する命令を下すよう,裁判所に求めています。裁判所がこれらの申立に対してどのように判断するかが注目されます。
ですから,裁判はまだもう少し続きそうです。
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☆ 理事の尋問について(神定先生)
○財務状況の分析
理事の尋問の前提として、ふなしんの決算書の検討を行ないました。
その結果、以下の疑問が出てきました。
@ふなしんは、20億円以上の「繰延税金資産」を計上しています。「繰延税金資産」とは、簡単にいうと、「現時点で赤字でも、将来利益を上げられる見込みがある場合には、ある程度、現時点の資産を増やしてもよい」というものです。平成10年ころまで、ふなしんは、毎年1億円程度の利益しか出していないのに、「経営改善5カ年計画」なるものを取決めて、毎年、10億円以上の利益を上げられるとの計画を立てていました。この計画に基づいて、20億円以上の繰延税金資産を計上していました。しかし、これは過大計上ではないかという疑いがあります。
Aふなしんは、出資金増強運動を行なっている間、株式への投資額を増やしており、100億円近い投資額となっていました。これが値下りして、最終的には20億円以上の損を出し、破綻の原因となっています。このように、100億円も株を買うことは、危険が大きかったのではないかという疑いがあります。
Bふなしんには、平成11年、12年と、国の検査が入り、国の査定では、自己資本比率は2%台と査定されました。その結果、経営改善計画提出命令が下されています。しかし、出資者で、そのようなことを説明された人はいません。ふなしんは、このように、自己資本比率が2%台い低下していることを知りながら、「ふなしんは4%台の自己資本比率があり、健全経営です」として、出資金を集めていたと思われます。
C出資者の方たちは、ふなしんの経営状態が悪化していたこと、出資金はふなしんがつぶれたから返ってこないこと、について、ほとんど説明をされていませんでした。理事からは、出資金増強運動に際して、きちんと説明をするよう指示はなかったのか、という疑問があります。
○大木元理事長の尋問
以上の疑問に対する大木元理事上の回答は、以下のようなものでした。
@将来の利益を過大に見積もっていたのでは、という点については、「細かい数字は資料が手元にないので覚えていないが、貸倒引当金の計上は一段落すると思っていた。人件費のリストラなどで、改善は進んでいた」とのことでした。これに対しては、こちらから、ふなしんが作成した経営改善計画の文書を見せて、「不良債権の処理が進んだといっても、地価も下落傾向であり、突然倒産する取引先もあるのだから、貸倒引当金がゼロで済むことはありえない。人件費は、確かに10億円程度減らしているが、金利収入も同じくらい減少しているから、収支の改善になっていないのでは」と質問しました。これに対しては、「そういう面があることは否定できない」との回答でした。
A株式への投資については、「本業の貸出しで利息が稼げなくなっていたから、株を増やしたという面は否定できない。しかし、株が下落したのは、2001年(平成13)年9月11日の同時多発テロがきっかけで、よそうできなかった」などと述べていました。これに対しては「ふなしんの理事会議事録を見ると、平成13年の8月頃に、『今年の決算が厳しいから、支店を5つ売却する』との記載がある。9.11の前から、株の損はふくらんでいたのでは」と指摘しました。
B増強運動の前に、国の検査で自己資本比率が低下していたことを知っていたのでは、との点については、「国の検査は異例ずくめだった」とのことでしたが、増強運動の前に、自己資本比率が低下していたことは否定しませんでした。
C職員への説明義務の徹底については、「増強運動を開始した当時、ふなしんが破綻するとは予想もしていなかった。もともと、ふなしんへの理解者から出資を募ること、という指示はしている」とのことでした。これに対しては、「理解者といっても、ふなしんの経営が悪化していることを理解して、助けてくれる人、という意味ではないですね」と指摘しました。
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○市原、谷口元理事の尋問
他2名の理事についても、以上の点を確認しましたが、おおよそ、大木理事長と同じようか回答でした。
市原元専務理事からは、増強運動は、理事全体の理事会ではなく、大木、市原、谷口他数名の常勤理事会で決められているとのことでしたので、常勤理事会の記録の提出を求める方針としました。
谷口元常務理事は、国の検査について、自分の側の弁護士からの質問には「国の検査はこちらの言い分を全く聞かない厳しいものだった」と述べていました。しかし、こちらから「検査の状況が厳しいことは把握していて、出資金増強運動を行なったのか」と質問すると「私は検査の現場にいないので内容は分からない」など、責任回避をしていました。
○感想
理事の尋問については、予想どおり、理事は、責任逃れの弁解に終始しました。これに対して、こちらからは、決算書や、理事会議事録などの資料を根拠に、理事としても厳しい状況であったことは否定できないとの回答は引出せたと思います。もっとも、理事は、最後まで、国の厳しい査定を受けていたことを認めながら、「破綻するとは思ってもいなかった」と述べています。これに対しては、裁判の終結までに、改めて、こちらからの反論を提出することにしています。
☆ 各証人尋問に関して
尾藤さん(小島先生)
尾藤さんの本人尋問では、職員が昼食を持ち込んで自宅に来ては出資を勧誘した様子が語られました。また、尾藤さんを担当した職員の尋問では、尾藤さんの娘さんの分の出資については娘さんに直接会うことなく手続がなされていたことも明らかにされました。尾藤さんは尋問のトップバッターとして大変緊張されていたと思いますが、ふなしんの代理人からの質問に対しても落ち着いてよく答えていたと思います。おつかれさまでした。
小田さん(陶山先生)
小田さんの本人尋問では、小田さんが、50万円を出資させられたいきさつが詳しく語られました。小田さんは、衣料品会社を経営しておりますが、ふなしんから300万円の融資が受けられる前提で、衣料品をを発注してしまっておりました。
しかしながら、ふなしんとの契約当日、50万円もの出資を融資の条件とされ、350万円を融資金としてその中から出資をさせられたのです。小田さんの話しぶりは明快で、裁判所にも当時のふなしんのなりふりかまぬ異常な出資金集めの実態がアピールできたのではないかと思います。
ふなしんの代理人からの反対尋問についても、小田さんは、一歩も引かず、時には笑いをとりながら証言されており、私も安心して見てられました。お疲れ様でした。
小幡さん(大島先生)
小畑さんには本人尋問のしんがりを努めていただきました。尋問においては、年末の慌ただしい時期、しかもお昼休みのため自宅に戻っていたほんの短時間の間に、ふなしんの担当職員が出資を勧誘した時の詳細が明らかにされました。職員から出資に関する説明がろくになかったことをリアルに証言できたと思います。端から見ても非常に緊張されていることがわかりましたが、ふなしん代理人の重箱の隅をつつくような反対尋問にも崩れることなく、無事に切り抜けることができました。ありがとうございます。
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金澤さん(大槻先生)
金澤昇さんは,勤務先に出入りしていたことから懇意にしていた船橋信用金庫鎌ヶ谷支店の八木宏明の勧めで,船信に出資金を出しています。
尋問の際,金澤さんは,出資金については定期預金より率が良いという説明を受けただけで,船信の当時おかれていた状況や出資金は返還されない危険性があるというようなことは,一切説明されなかったことをはっきり証言しました。
また,解約については,返金を受けるための手続についても,全く説明を受けていないことも明確に証言しました。
一方八木は,出資の性質などについて説明したとしていましたが,結局,反対尋問で「出資金はどのような場合にも保護される」という説明をしたと言わざるを得ませんでした。
また,金澤さんが事前の解約を申入れていたのに対し,八木は,返金までに2,3ヶ月程度かかると説明したと供述しましたが,裁判所は,実際は破綻まで6ヶ月あったにもかかわらず,返金がなされなかったことについて興味を持ち,この点について,八木に対し説明と現実の乖離を追及しており,裁判所は,八木が契約に際し,金澤さんが供述したとおり,出資金についての明確な説明をしなかったとの心証をとったと思います。
☆ 証言された方の感想
尾藤さん:証言に関しては覚えている事実は述べられたと思います。体調も良くなく現在は寝たきり状態で、裁判期間が長すぎて何時ごろ決着が着くのか心配です。
小田さん:今回の裁判で、相手方が嘘を平然とつく様子を見て、情けなく思いました。
裁判長には伝わったのではないでしょうか。 また、弁護士先生の裁判資料集めなど、大変苦労をなさっている事が、改めてわかり、大変感謝しています。
小畑さん:リスクの説明についての船信側の証言には呆れてしまいました。
こちら側の証言とは正反対。 判事さんはどう判断されるのでしょうか?
金沢さん:裁判の長期化と大変さが良く解りました。 原告の高齢化を考えると健在な間に早く結論を出して欲しいと思います。
☆ 事務局からのお知らせ
次回第21回公判は9月19日(金曜日)の午前10:30から千葉地裁の405法廷にて開催されます。弁論後弁護士会館で説毎回が行なわれ、12時位から宣伝行動が予定されております。
裁判も大詰めを迎えようとしており大切な時期ですし、最近裁判所にて出欠も記録されていますので一人でも多くの方々の参加をお願いいたします。
ふなしん裁判の次回予定や過去の弁護団ニュースが争議サポートステーションのHPに掲載されておりますので以下のURLから参照下さい。
http://sougi-ss.com/funasin.html
傍聴は唯一原告に出来る弁護団への支援と裁判所に対する無言の訴えです。
一人でも多くの方々の出席を是非お願いいたします。
ふなしん出資金被害者の会事務局担当 田中 昭和(047-476-9150)
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